Windowsプログラミング 第5版

Windowsは,恐らく世界最大のソフトウェアプラットフォームだろう.XPは4000万行もの規模であり,3.1ですら,数百万行には達していたらっし.確かに,あれほどの膨大なデバイスに対応し,膨大なライブラリを備えるプラットフォームは他にない.「Windowsプログラミング」は,そのようなWindows上でのアプリケーション作成の基本を解説した本である.この本を読むと,メッセージドリブンによるアプリケーション処理の実行といったWindowsにおけるプログラミングの基本は,Windowsの初期から変化していないことが分かる.また,API仕様に,16ビット時代の名残りがあったり,OS/2から引き継がれている仕様があったり,歴史を感じさせる.

その内容は,Windowsの基本とはいえ,多岐に渡る.例えば,基本的なウィンドウを単位としたメッセージのやりとりから,さまざまなデバイスに対応するためのグラフィック描画,キーボードやマウスなどの入力デバイスの扱い,サウンドバイスの扱い,マルチスレッドのモデルなどといった構成になっている.それぞれの記述は,サンプルコードを順に解説する構成となっており,Cの基本的な知識があれば,十分に読むこなすことができる.ただ,内容の充実に合わせて,その量は膨大となっており,一気に読んでしまうのは,かなり骨が折れる.

現在のWindows上のプログラミングの主流は,Win32APIを直接叩くのではなく,MFCなり,WTLなり,もしくは.NETなりのより生産性の高いクラスライブラリや環境を利用するのが一般的である.しかし,それらのライブラリ上で,効率的なデザインをしたり,作り上げたコードがうまく動かない時に原因を早く突き止めるためには,基礎となるWin32APIを知っておくことは,決して無駄にはならないだろう.