C++プログラマ必読の書

C++が好きか嫌いか,Perlなどと比較してどうか,などということが,時々ネット上でも議論になる.たいてい,そのような議論は,それぞれの立場から,いいたいことを言うだけで,宗教論争に近いものがある.

C++の場合,複雑すぎる,とか,文法が綺麗ではない,というあたりが攻撃の対象となっているようだ.ただ,言語間の絶対的な優劣というのは,ほとんど評価不能で,ただ最適な適用対象が違い,それぞれの論者の立ち位置から見ると,優劣があるように感じるのでは,ないか,と思っている.C++の仕様は,確かに相当に複雑であり,ある目的を達成する場合に複数の書き方があって,プログラマを混乱させる,というのは確かである.しかし,Cとの互換性も重要であるし,その強力な構文が有効に働く場面というのも少なくはない.

本書は,そのような混乱しがちなC++のコーディングについて,一定の指針を与えるものである.中でもメモリ管理とクラス設計の指針が充実しており,これに従うことで,綺麗で効率的なコードになり,またバグを減らすことができる.また,より重要なのは,こういう指針があるということが,プログラマ間で共有されていると,クラス設計がスムーズになり,物事がずいぶんと進めやすくなる.

なので,C++プログラマと名乗るからには,本書を必読としてほしいものである.