文芸的プログラミング
コンピュータ科学上の偉人 Donald E. Knuthによる著作.文芸的プログラミングとは,機械が読むプログラムに人間が読む文章(コメント)を挿入するのではなく,人間が読む文章を主として,そこにプログラムも記述するというアイデア.JavadocやPerldocのようにコメントに書いた文章を抽出して,ドキュメントにする,という方法は,かなり一般的になっているが,それを強烈に押し進めた方法と言える.
そもそも理論家で,強烈な個性の人(印刷の組版が不満で,自分でTeXを作ってしまう,とか...)のアイデアなので,考え方自体が理想解のように美しくなっている.XPとかアジャイルとかのキーワードで語られる今時の分り易い方法論とは一線を画すように思われる.日々の物事の進め方には,とてもすぐには取り入れられないだろうけど,時々,立ち止まって全体を考えなおすときには,こういう理想解のような視点を持つのも,悪くないんじゃないだろうか.
文芸的プログラミングについての詳細は,ここが詳しいので,一読することをお勧め.ちなみに,Knuth先生自身については,ここのあたりで.Knuth先生は,30歳でStanfordの教授になり,36歳でチューリング賞を受賞している.あまりにも偉大すぎる業績で,こんな神様なような人は,今後,コンピュータ科学の世界で出てくるのだろうか?と思ってしまう.